飛来

 UFOとは直接関係ないけど、思い出話をひとつ。いつだったか…中学生の頃だったかな? 

 俺らの地元では秋祭りの時期になると「練習会」が催され、わずかな大人の付き添いのもと、祭り当日まで夜な夜な子供たちが集まって太鼓をドンドコやるんですね。19時・20時ぐらいの浅めの時間帯とはいえ、憚ることなく堂々と夜遅くまで出歩けるってんで、妙に楽しかった記憶があるんですけども。

 ある夜のこと。いつものように遊び半分で集合している我々の上空に、突然もの凄い数の「流れ星」が出現したんですよ。そりゃもう単なる群流星なんてもんじゃなくて、おのおの長ーーーい尾ヒレを携えて、しかもずっと消えずにゆっくりと空を渡って行くわけ。本っ当に凄くてね、夢を見てるんじゃないかってぐらいに綺麗で。衝撃的な光景だったなぁ。「うわっ、何だあれ! すげぇ!」「流れ星だ!」「何だあの数は!!」ってんで、そりゃもう一同騒然ですよ。

 流れ星は本来、一瞬で消えてしまうはず。そのぐらいはみんな知っていたと思う。でもそんな疑問はその刹那、どうでもよくて。大挙して空を渡る「流れ星」を前に、子供たちの思考は次に「ね、ねがいごとを言わなくちゃ!」に瞬時に切り替わるわけです。

 みんな慌てて手を合わせて、何て言ったと思います?

「お金が欲しい! お金が欲しい! お金が欲しい!」

 もうね、合唱ですよ。ガキの思考なんて、所詮そんなモン。

 翌日の新聞で、流星の正体が「落下し大気圏で燃えた人工衛星」だと知り、失笑でしたね。ハイ、そんなお話でした。