中庸

　FIFAワールドカップに興味がある「振り」をするのがなかなか大変だ、という人の心理。
　誰かの「今日はW杯、日本戦ですねぇ」とか「日本、どうだろうねぇ」みたいな世間話に、いちいち「いやぁ、私は特別興味あるわけでもないんでねぇ」なんて言っちゃえば会話は興ざめだし、ましてや盛り上がっている人に対して冷や水をかけるのも気が引ける。興味ありませんってスタンスを表明するのは実に簡単だけど、わざわざそれをアピールすんのは、必要以上に「アマノジャク気取り」な気がしてカッチョ悪い。どの国も頑張ってんだから、なんつって同胞を応援することを「拒む」ところまで極端に行ってしまうのも、目指せエセインターナショナリストって感じがしてプーだ。また、国全体が（もっと言えば世界全体が）わりと盛り上がってんのに自分はまるで蚊帳の外、ってのも正直、ちょっと寂しい気がする。それに、スポーツ観戦自体は決して嫌いではないし、そりゃもちろん感動することだってある。
　ってことで結果、「熱くなるほどではないけどそこそこ興味はありますよ、さておき日本頑張れ」ってポジションを取ることになる。無難な時事の話題をかわせる程度には知っておこう、W杯についての情報を入れとこう、っていう。でも、「情報を入れておく」なんて言い方はリアルではしないし、したくない。そんな無味乾燥な出来事でないことぐらい頭では分かっているからだ。
　と、そういう人、多いんじゃないですかね？　どうでしょう。