ブックカバー

 書店で、買った本にカバーをかけてもらうことの意味は、2つあると思う。ひとつは、本をなるべく汚さないようにすること。もうひとつは、家以外の場所で読む際、何を読んでいるか他人に知られないようにすること。「後者の役割の方が大きい」という人は多いんじゃないだろうか。
 本は心を映す鏡だ。心理が表れ、興味の対象が知れる。ことによっては、おおよその性格や、バックボーンまで滲むかも知れない。
 それらを容易く気とられるのを避けたい…もっとダークに突っ込めば、誰かに簡単に理解したつもりになって欲しくない、という心理。
 普段、人はことあるごとに「自分のことをわかって欲しい」「誰も本当の自分を理解していない」なんて思うくせに、それを自ら隠そうともするこの矛盾。書店帰り、机に置いた「中身の見えない」本たちを眺めて、んなことをボンヤリ思った。